街外れ、恋繋ぎ。
「はぁ…。」
何となく空を見上げ、ため息を吐く。
そうすれば、なんとなく。
心が晴れてくるような気がした。
「そこの子、ため息ばっかり吐いてると、幸せが逃げるよ」。
そう、そんな感じの言葉も雑誌にあった。
「ねぇ、聞いてる?」
「え?」
視線を声がした方向に向けると、男の人が立っていた。
さっきの声は彼の声だったのかと、心の中で1人納得する。
そして、すぐにまた視線を空に戻す。
(今は男なんて見たくなかったのに。)
「タイミング悪いよ、そこのお兄さん。」
心の中でつぶやいたつもりの言葉が、口に出てはっとする。
そっと、彼の反応を見ようと、また視線を彼に戻す。
「ハハハッ…確かに。君、泣いてるしね。」
予想は外れて、彼は微笑みながら私の方を見ていた。
「…怒らないの?」
てっきり怒ると思った。と言うと、彼はキョトンとした顔を見せた。
「何で怒るの?俺、よくKYって言われるし、君が言った事合ってると思うよ。」
「そっか…。」
案外、いい人なのかな。悪いこと言ったかも。
何かお詫びしないと。
私は、唐突に鞄の中を掻き回す。
「あ…。」
出てきたのは、赤い色の飴。
これじゃ、お詫びにならないな。と思いつつ、
「これ、酷い事言ったお詫び。」
彼の前に飴を差し出す。
彼は、最初、頭の上に?があるような表情だったけど、
すぐに笑顔に変わった。
「ありがと。あ、ついでにさ。この先に俺の兄貴がやってるカフェあるんだけど、もし君が良かったら、寄って行かない?無料にするから。」
彼は街外れの丘を指差す。
別に用事があるわけでもないし、いいかな。
「そうだね。」
気分転換に。そう思って、彼についていく。
気分転換なんて余裕ない。なんて思っていた心は、
いつのまにか晴れつつあった。