黄砂の降る町


「ちからをこめすぎたらこわれちゃうんだよ。

かたちがみえてきたら、そーっとそーっとふーってするんだ」

「へぇ。そうなの?」

「うん。ぼく、いつもこわしちゃうの。いそげーっておもうといつも。

おかあさんは、ゆっくりやりなさいっていうけど、じかんがなくなっちゃうんだもん」

「……ふうん」


なんか、ゲームの話なのに、身につまされる。

自分の気持ち伝えたくて、私もいつも力いっぱい向かっていっちゃう。

その結果、どうよ。

仕事もうまくいかなくて、彼氏ともうまくいかなくて。


「だからね、そーっとやるれんしゅうをしてるんだよ」


智君がにこりと笑う。

天使の微笑みだ。

君はしゃべらない方がよさそうだよ、と思って、自分もそうだと思い当たる。


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