黄砂の降る町
そして今ここにいるのは
汚れた町で、身動きの取れなくなった一人の女。
1年前に望んだ未来からは、絶望的に程遠い。
「……参った」
ホントに。
ダメージは大きいよ。
走る事に疲れ果てた頃、とてつもなく悲しくなってきた。
とぼとぼと歩きながら、足元を見つめる。
アスファルトの細かい灰色の陰影が、どんどんぼやけてくる。
そのうちに涙があふれ出してきて、
止まらなくなって、
私はここが公道であることももうどうでもよくなって、歩きながら泣き続けた。
こんな町、来なきゃよかった。
いいことなんか何もなくて、私を傷つけるようなことばかり起きる。
夢と希望に満ちあふれていた一年前の自分が馬鹿みたい。
こんな、黄砂で汚れた街みたいに自分の心が汚れきってしまうなんて、考えてもみなかった。