黄砂の降る町

 どのくらい泣いたんだろう。

もう泣くことにも疲れてしまって、鼻をすすりながら涙を拭いた。


どこかで休みたいけど、この顔では喫茶店にも入れない。

近くにあった広い公園なら、ベンチくらいあるだろうか。


そう思って駐車場を横切った。
やっぱり汚い車が数台止まってる。

通りすがりの青い車のサイドミラーで、目の腫れを確認する。

赤く腫れててものすごく不細工。

車の汚れのせいもあるけど、なんだか以前よりもブスになって気がする。


「……きったない」

「これ、『こうさ』だよ」


私の独り言に、小さな子供の声が答えた。

驚いて振り向くと、一人の男の子が見上げてる。

くりくりの二重に、オリエンタルな顔つき。
まるで天使みたいに可愛い。

5歳くらいなんだろうか。

丸みのある頬を揺らしてジャンプしながら、
眉の傍にしわを寄せて私が見ていた鏡を覗きこむ。

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