黄砂の降る町
「おばちゃん、しらないんだ。おとななのに。
これ、こうさなんだよ!」
……前言撤回。
可愛くない。
誰がおばさんじゃ。
少年は私の睨むような視線はお構いなしで語る。
「こうさは、ちゅうごくからかぜにのってやってくるんだよ」
「すごいね。なんでそんな事知ってるの」
「てんきよほうでいってたもん」
得意げに胸をそらす。
こういう分かりやすい態度は子供らしい。
思わず笑ってしまったところで、背中の方向から男の人の声がした。
「智(さとる)! こんなところにいたのか」
少年のお父さんなんだろうか。
20代後半くらいの男性が、息を切らして立っていた。