黄砂の降る町


「ああ。この子の母親の兄なんです。
まだ独身だからおじさんって呼ぶなって言ったら、こう呼ぶようになっちゃって」

「なんだ。ふふ。そうですか」


それで、お兄ちゃん。
納得。

アワアワしているそのお兄さんに、私は顔を見られないように俯いたまま答えた。


「本当に、何でもないんです。黄砂の話をしてただけで」

「黄砂?」

「うん。ちゅうごくからくるんだよってはなし」


少年はまた繰り返す。


「すいません。知ったかぶりする子なんで、なんだか偉そうに」

「ほんとうだもん。テレビでいってたんだから。

じゃあもっとおもしろいことおしえてあげるよ」


智君は少し考えたように目を泳がせてから、にやりと笑った。


「すなのなかにはたからがあるってしってる?」

「え? 宝?」


目を丸くする私に、少年はにんやりと笑う。

< 8 / 13 >

この作品をシェア

pagetop