黄砂の降る町
「ああ。この子の母親の兄なんです。
まだ独身だからおじさんって呼ぶなって言ったら、こう呼ぶようになっちゃって」
「なんだ。ふふ。そうですか」
それで、お兄ちゃん。
納得。
アワアワしているそのお兄さんに、私は顔を見られないように俯いたまま答えた。
「本当に、何でもないんです。黄砂の話をしてただけで」
「黄砂?」
「うん。ちゅうごくからくるんだよってはなし」
少年はまた繰り返す。
「すいません。知ったかぶりする子なんで、なんだか偉そうに」
「ほんとうだもん。テレビでいってたんだから。
じゃあもっとおもしろいことおしえてあげるよ」
智君は少し考えたように目を泳がせてから、にやりと笑った。
「すなのなかにはたからがあるってしってる?」
「え? 宝?」
目を丸くする私に、少年はにんやりと笑う。