貧乏お嬢様と執事君!
いつも冷静な椿野より優勢に立つ井筒は、おもしろそうにいった。
「僕は言うつもりはないよ誰にもね。鷹司さんがあんなことになっていた理由を知りたくない、といったらウソになるが、あえて聞かないよ」
「………そう。それだったらいいわ」
あっけなく椿野は怒りを納め、いつもの無表情に戻った。
「?なにひそひそやってんのー?」
「なんでもないわ。そろそろ行きましょう」
「ぼくもいっしょに帰っていいかい!?」
「カイトも来るんだけど?」
「………きょっ今日は遠慮しておくよ」
井筒はわざとらしいほど大げさに身震いした。