貧乏お嬢様と執事君!


鷹司がカフェのベルを鳴らした瞬間、待っていたかのようにカイトが人ごみから吐き出された。


数言かわし、鷹司が歩き出すと、遠慮がちにその背をつけるカイト。


ダークスーツを着こなし女の後ろを歩く例が見当たらないほど不自然な光景。


ボーと眺めていると、ちらりと一瞬カイトが振り返り軽くお辞儀をしてきた。


予想外の行動につられ、かくっと首を振る。


曖昧にほほ笑み、速足で言った背を追いかけ始める。


「………いい執事だわねぇ」


椿野は空いた席に話しかけるように、お会計のベルを鳴らした。




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