貧乏お嬢様と執事君!
「ほんと?うれしい!」
鷹司はふわりと喜びを顔にあらわし、カイトの手から包みを奪っていった。
びりっと朝明けにサンタさんからのプレゼントの包装紙をビリビリ破く子供を見詰めている親の気分なカイトは、恥ずかしさに頭をかいた。
鷹司の笑顔が自分に直接向けられることはいまだになれない。
破き終わった鷹司はぴたりと動作を止めた。
気に入らなかったか、と内心不安になる。
「どっどうしました?お気に召されませんでしたか………」
いまどき手編みのマフラーなどはありふれたプレゼントだったのか。
鷹司のクリスマスプレゼントを買いに行ったとき、つい購入してしまったアイスカラーの毛糸は見事なマフラーへと進化を遂げている。
製品のもの、といわれても信じ込んでしまいそうな腕前だった。
だが、カイトは自作したものにうなずけるほど図太い神経を持ち合わせていない。