貧乏お嬢様と執事君!
カイトのテンションが天井に届いていたころ。
椿野は自室にこもり、無表情で調べ物をしていた。
暗い部屋の中でパソコンのモニターだけが光源となっている。
凍死せぬよう執事が持ってきてくれた熱々コーヒーを一口すすり、キーボードの横に音をたてぬように静かに置いた。
肩にかけた上着とコーヒーだけが椿野の体を温めていた。
だが、心内では猛吹雪が襲っている。
液晶にはまだ幼い二人の少女がこちらを見て座っていた。
一人は天使のような笑顔で
もう一人は無愛想な顔で。
「………由姫華、ねぇ」
誰もいない寝室で、椿野は低く漏らした。
明日はなかなか充実しそうな日々となりそうだ。