貧乏お嬢様と執事君!
どんな言葉を返せばいいかわからなかった。
美味しいと言って食べていたカレーの味が今はさっぱりわからない。
そっとスプーンを置き、鷹司は長いまつげを伏せた。
憂いに満ちた表情を見ることができず、カイトは頭を下げ続けた。
柱時計が秒を刻むのがやけに遅い気がした。
やがて鷹司は顔をあげ
「そう。だったら仕方ないね………」
と寂しげに微笑んだ。
カイトは涙腺が緩んでいくのを頬で感じ取った。