貧乏お嬢様と執事君!
お嬢様、私は永久に貴方様の執事です
「………由姫華様、あんたマジで悪趣味だなおい」
火が消えた煙草を指の間で揉みつぶしながらレンは言った。
レースが大量に施されたベッドの中心で由姫華は寝ころんでいた。
その冷徹な美貌は、勝利の喜びにゆがめられている。
「あら?なぜかしら?」
「愛し合ってる二人を引き裂く悪女がお似合いで」
言い直し、レンは横目で由姫華を流しみた。水色のワンピースにしわが入っている。
「実は王子と悪女は相思相愛の仲で………邪魔をしていたのがお姫様だったら?」
寝返りを打ちながら彼女は笑った。上機嫌だ。
「最終的にはお姫様が一人になるの。悪女は今まで悲しい思いをした分幸せになるのよ」
由姫華は冷えた腕で目元を冷やしていた。
そうでもしないと涙が出そうだったからだ。