貧乏お嬢様と執事君!
「………そーかい。今回の劇はこれで終幕ってとこか?」
「ええ。今まで観戦御苦労さまレン」
レンの瞳から熱が抜けた。熱中してきたゲームがあっという間に終わってしまった時と同じ虚無に襲われる。
「奪われていた王子様と幸せになったのは悪者役だった美人なのでした………おしまいおしまい」
上体を起こし髪を整える由姫華をレンは眺めた。
しかし数秒して観察をやめ、新しい煙草に火をつけた。
「御苦労さまレン。給料は今の倍払うから」
その瞬間をねらったように、由姫華は微笑んだ。
「消えて頂戴」