貧乏お嬢様と執事君!
レンはため息とともに煙を吐きながら首を振った。長い前髪をかきあげ、整った美貌を露わにした。
「そんなゲームのデータみてぇに簡単に消されちゃたまんねぇよ。こっちだって生活はあんだ」
「あらだったらいい仕事先を見つけてあげるわ。貴方ならどこでも大丈夫よ」
どうでもよさそうにいい、彼女は再び倒れこんだ。
「………探さなくてもいいが、こっちがリクエストしてもいいよな?」
陶器のような顎をなぜる。由姫華は天井を仰ぎ見ながらそれを承諾した。
しばらく考えるふりをして彼は由姫華を焦らした。
ふっと悪戯っぽい笑みを受かべ
「沙良お嬢様のもとへ」
「………あなたって優しいのねぇ。あんな一人ぼっちに加勢するっての?」
あんたより随分とな、とレンは眼を三日月にした。