貧乏お嬢様と執事君!


「暴れるかと思ってたんだけどな」


レンはポケットに手を突っ込んだがすぐ引っ込めた。煙草禁止令を思い出したらしい。


「………より大人になられましたね」


カイトはぽつりとつぶやいた。


そうだな、と独り言に返しレンはそばを離れた。


去り際に


「より美人に、の間違いだけどな」


と囁いて行った。


「早く行かないと遅刻するわよ」


他人事のように椿野が声を上げると井筒が慌てて手首に視線を落とした。


「ああぅ!こっこんな時間かい!鷹司さん行こう!」


さりげなく手を握ろうとした井筒の手首を素早く椿野は握りつぶした。


んぎゃぁと悲鳴を上げる井筒。


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