貧乏お嬢様と執事君!
お嬢様、バイト時はばれぬように慎重に
高級ショップが立ち並ぶ街、渋谷。
何万もの人間が小さな町でひしめき合い、娯楽や物品を求めふらついている。
椿野 櫻子は街の威圧感に負けぬオーラを全身にまとわせながら優雅に歩いていた。
あまりのも暇だからその辺のブランドショップを流し見ようと徘徊しているのだ。
流し見るだけ、という単純な理由だけでブランドショップを流し見るということは、椿野並みの金持ちでしか使えぬ時と金と度胸である。
つまらない、と豊かな黒髪を押し上げればすれ違う男女は、その優美な香りに振りかえる。
ここに、大親友の鷹司がいればどれだけ楽しかったか。
椿野は失念の思いを吐き出した。