貧乏お嬢様と執事君!
「………じゃあね櫻子………また明日………」
生気が抜けた瞳で椿野を見つめる。
しばらく椿野は無言だったが、
「それじゃあね」
椿野は踵を返し夜の街へと足を向けた。
「お待ちください!一人歩きは危険でございます。送って………」
「なにで、ですか?リムジンでもあったっけ?」
軽い嫌味に言葉を詰まらせるカイトに、優しげに笑みを浮かべ
「大丈夫カイトさん。迎えでも呼びますよ」
まだ何か言いたそうなカイトを通り過ぎ、足早に夜の街へと消えていった。