貧乏お嬢様と執事君!


「………おっお嬢様」


急に二人っきりにされたカイトは胸の高鳴りを抑えきれず、ぼぅっとしている鷹司に問いかけた。


「そっその、なぜバイトなど?確かにお金はありませんが、わたくしに一言ぐらい……」


「プレゼントあげる本人に、ばれたらだめじゃん」


アヒル口のお嬢様が言う。


「え?」


「前カイトが『この時計いいな~』って寝言で言ってたから。一緒に雑貨屋散歩した時の」


「ああ。あの時の……ってお嬢様!私のことを……?」


「うん。クビになるならどうしてもって今までのバイト代貰ってきたから買えるね」


嬉しそうに小さな封筒を握りしめる。


カイトは感激で涙が出そうだった。


鷹が執事の自分のほしいものをバイトをしてまで買ってくれる愛おしいお嬢様のお気持ちだけでうれしいのに、物品まで付いてくるとはサービスがよすぎる。過剰なサービスはあまりよくないことだが、そんなこと気にならないほどとにかくうれしい。小躍りしそうだった。





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