貧乏お嬢様と執事君!
軽くステップを踏み始めていたカイトを不思議そうに見つめながら、鷹司は封筒から一枚野口さんをだし、カイトに突き出した。
「はいっ!これであのおもちゃの時計を買いなさい!」
「………おもちゃ?」
「そう!まっ時計は時計だからね。動かないことはないよ」
「………あっあのお嬢様。たいへん失礼なのですがその『おもちゃ』の時計を、私はどこで観ましたか?」
「えっう~ん。レトロな雰囲気の雑貨屋だったじゃない!」
その答えを聞いた瞬間、カイトの体が一気に強張った。
鷹司が笑顔のまま尋ねる。
「どうしたの?突然金縛り?」
「あっそのあの………」
カイトは目を宙に泳がせ、せわしなく体を動かした。
言おうか言わないか迷っているようだ。
何を言おうか考えているのはわからないが、主君という立場にある鷹司はやさしく言った。
「何でも言って!」