初恋プーサン*甘いね、唇
.○chapitre7:それぞれの恋愛
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「美咲!お願いがあるの」
午後5時すぎ。
チャクラでの出来事をきっかけに頓悟した私は、喫茶店から飛び出して図書館へ走り、開口一番まくしたてた。
「どうしたの?寝てなきゃダメじゃない」
目を見開く美咲に構うことなく問いかける。
「彼――司さん、もういないわよね?」
「とっくに帰ってるわよ」
「じゃあ住所は分かる?」
矢継ぎ早に質問すると、横にいた博美さんが手で制した。
「ほらほら。片瀬さん、どうしたの。落ち着きなさい」
「あ、は、はい……」
整え忘れていた呼吸を直すように、一度大きく息を吸って吐いた。
「ふう……っ」
「そうよ。しっかり呼吸を整えて」
穏やかな博美さんの言葉が、次第に平静を戻してくれた。
「はい」
「どうしたの、雛子。ゆっくり話してみて」
「あのね」
倒れて自分を冷静に見つめ直し、マスターと話したことを思い出しながら、私なりに出した最終結論を、できるだけ素直に、詳しく説明した。
「――ってこと。彼をもう失いたくないの!」
話を聞き終えた美咲は、隣の博美さんを見た。