初恋プーサン*甘いね、唇
「片瀬さん」
急に苗字で呼ばれ、きょとんと彼を見つめた。
穏やかな表情だったのが真剣なそれに替わったので、私も真剣に応える。
「……なんですか?」
彼は、私の耳元で、囁くように言った。
「好きです」
唐突な言葉を受け、とっさに顔を胸にうずめ直した。
何、突然――。
「好きです。片瀬さんのことが」
この人は、本当に口下手なのだろうか?
そう思うほど淀みがなくて、抑揚が扇情的で。
私は、回していた手を離し、うずめたまま髪で両耳を埋めた。
「は、恥ずかしい……です」
答える前に、率直な気持ちが言葉になった。