初恋プーサン*甘いね、唇
「……ぼくも」
私の頭に手を添えて、胸に押し当てる。
「……ほんと」
彼の心音が早歩きしているのが分かった。
私の中の彼はすごく頼もしく、落ち着いた大人のイメージが蔓延していたから。
こういう、照れている一面が不自然であり、可愛らしくもあった。
「答えは?」
もちろん、と私は顔をあげた。
ここまで来たら、言うしかない。
「私も好きです。先輩と同じ時間だけ好きでした」
「ありがとう。やっぱり最初から口で言えばよかったな」
彼は、宙にふうっと息を吐いた。
「でも……私でいいんですか?」
「どうして?」
「これといったとりえもないし、なんか冥利が悪くて……」
なで肩をさらに落として言うと、彼は「そうだね」とつぶやいた。