初恋プーサン*甘いね、唇
「話、聞いてる?雛子」
耳元で大声を出されたところで、私の妄想劇場は終わった。
美咲は、あきれたようにため息をつく。
こういう、度が過ぎた妄想をよくする私の性格を、彼女は熟知している。
だからきっと、ため息も「またか」っていう意味がこもったものなんだろう。
「顔が赤いよ?」
美咲に言われて、胸が鳴る。
妄想とはいえ、変なことまで先走っていたから、そういえば顔が火照ったように熱い。
手をうちわ代わりにあおぐと、彼女はさらにため息を重ねた。
「どうせ、妄想でラブホテルにチェックインしてたんでしょう」
「…………っ!!」
あおぐ手も間に合わず、顔の火照りは尋常じゃなくなった――。