初恋プーサン*甘いね、唇
.○chapitre3:お礼と称したデート
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夕方。
棚の整理や図書の書庫入れなどの閉館作業を、手際よく終えた。
館長はまだ幾つか片付けたい仕事があるからと館長室に戻っていったので、私たちは一足先に帰ることにした。
「お疲れ様です」
バッグを置いている事務所に挨拶をしながら入ると、先に戻っていた博美さんがパソコンの前に座って呻吟していた。
「あ、お疲れ様。ふたりとも」
「ホームページですか?」
「まあね」と彼女はうなずいた。
「タグを手打ちで作っているから、結構手間がかかって」
「すごいですね、私にはさっぱりで……」
ね?と隣の美咲に同意を求める。
「本当。データベース検索とは全然違う、もっと細かいジャンルだから。博美さんみたいに別の方面にも詳しい人がいると、すごく心強いです。鬼に金棒」
「例え方はいいけど、鬼は嫌だなあ」
博美さんは笑った。