初恋プーサン*甘いね、唇
「だったら、その切ないため息は何?」
「土曜日のことを考えると、胃が痛くって」
「は?」
「やっぱり私、自信ないよ」
「アンタ、好きな人のことで胃痛起こしてどうすんのよ」
「そうだけど……」
「おかしな話ね~」
本当に、おかしな話だった。
大好きな人のことを思って「胸」が苦しくなるというなら分かるけれど。
大好きな人のことを思って「胃」が苦しくなるなんて。
放散痛じゃあるまいし。
今まで聞いたことがない。
やっぱりこれは、処方を誤った副作用なのだろうか?
「ずる休みしちゃダメだからね。逃げは許さないから」
美咲はきつく釘を刺し、口を開こうとした私に間髪入れず念を押した。
「杏奈ちゃんだって、毎週欠かさず来てるんだし。ただでさえ先を越されてんのに、ここで逃げたら何馬身も引き離されるよ」
「うん……」