有馬さんは宇宙人
暖房のない教室は寒いから嫌いだ。
昼休憩に入ったが、動きたくないので席に座ったままホッカイロを忍ばせてるポケットに手を突っ込みじっとしていた。
「夏目~」
どこからともなく湧き出る見慣れたメンツ。
「何よ、山田くん」
名前を覚えるのはあまり得意じゃないけど、こいつはどちらかといえば話す方なので最近やっと覚えた。
後ろの二人は池田に藤本だ、多分。
山田は頭はちゃらんぽらんだけど黄色のツンツン短髪ヘアが特徴的なイケメン。人当たりもよくて割とすきだ。
池田はサッカー部のキャプテン。あれ、野球部だったかな。
そんで藤本は……忘れた。
「夏目にお願いが、」
「えー、お前のお願いきらい」
だってめんどくさいことばっかだもん。と口をとがらせ見上げれば、山田はヘラリと笑った。
うわあ、嫌な予感。
「今日の女子大生との合コン夏目も参加し……」
「やだよ」
即答したら3人がピシイ、と固まった。そして次の瞬間にはみんなで俺を囲い迫り来る。
「そう言わずに頼むよ夏目!」
「こっちが一人足りないんだ」
「お前顔だけはええねんから!」
そうだ思い出した。藤本は関西弁なんだ、何故か。
椅子にうなだれて聞く耳持たずな俺に、山田は何か思い付いたのか得意げな顔をした。
「女子大生が予約した店だから、きっと美味いデザート食えるぜ」
「行く」
なぜそれを早く言わない。