有馬さんは宇宙人
「お前ってほんと、簡単で助かる」
「それはどうも」
ほっとしたように池田に肩を叩かれる。後ろでは山田がガッツポーズをとっていた。
役に立つとは良いことだ。
さて、そろそろ日なたぼっこでも行こうか。と俺は席を立った。この時間なら裏庭も日が照ってるし、割と暖かいだろう。
「放課後やから、サボったり先帰ったりせんようにな!」
背中に投げかける藤本に軽く手を上げて、俺は寒い教室を出た。
デザートって、どんなのが出るんだ。ケーキかな、ケーキがいいな。
やっぱお洒落な店なんだろうか。カフェだったら俺ココアしか飲めないけど大丈夫なのか。まあ別に問題ないか。
最近は母さんも「あんたは甘いものばかり食べ過ぎなのよ。野菜を食べなさい野菜を」と言って、俺のお菓子全部食べちゃうし。
ご飯は野菜ばっかだし。
「合コン」の本来の目的など興味は疎か気にもとめず、俺は上機嫌だった。
珍しく鼻歌なんかを歌いながら、裏庭に繋がる校舎の角を曲がる。と、同時に俺は足と鼻歌を止めた。
「沢山浴びて、大きく育つがいい」
ジョウロを手の長さいっぱいに上に掲げ花壇に水をやる有馬さんがそこにはいた。