有馬さんは宇宙人
それにしても、こんなにすぐ再び会うことになろうとは。
奇遇というか何というか。
有馬さんは俺の行きたい場所、いる場所が分かる能力でも持っているんだろうか。
「よく会うな」
有馬さんも同じことを考えていたらしい。
いつも通り校舎の壁に背中を預けて腰を下ろせば、有馬さんも横に腰掛けた。
陽射しがぽかぽかと心地好い。
「俺はてっきり有馬さんが何か特殊な能力でも使ってるのかと」
「隊長だ。まあ使えんこともないが、貴様とこうして会うのはただの偶然だ」
「やっぱ使えるのか、流石有馬さん」
「……もう良い、すきに呼べ」
宇宙人が先に折れるとは。
隊長と呼ぶのが別に嫌なわけではない。ただ何となく俺は、有馬さんを「隊長」とではなく「有馬さん」と呼びたいのだ。
お山座りの俺とは対照に有馬さんはあぐらをかいている。
なんだかこの空間も有馬さんも俺自身も、全てが不思議に見えた。
これも有馬さんの力なんだろうか。
「やっぱり有馬さんは宇宙人なんだな」
水を浴び生き生きとしている花壇の花達をぼんやり見ながら言えば、有馬さんは長い白髪を揺らしてこちら向いた。
少し驚いた表情をしている。
「気付かれていたとはな」
むしろ隠してたつもりだったのか。