有馬さんは宇宙人


「俺も苦労してるんですけどね」

「お前からそんな言葉が聞けるとはな」


 楽しそうに口元を吊り上げクックと笑う南さん。こちらの会話に気付いた有馬さんが「何の話しだ」と興味津々に割り込んでくる。

 ややこしくなるから有馬さんは入ってこなくて結構です。


「ところで合コンはどうだったんだよ?大学生は可愛かったか?」


 からかうように言う南さんにため息をついて、有馬さんを睨んだ。有馬さんは一瞬キョドってふい、と窓の外に顔を反らした。

 この人に話したな。


「まあ可愛かったですけど、特になんとも」

「……俺はお前の未来が心配だ」


 南さんだけには心配されたくない。

 確かに可愛かったけど、本当にそれだけだった。クラスメートより色気があって、オシャレで、大人の対応が出来て。

 そして、つまらない。

 話すことが嫌いな訳ではない、特別好きなわけでもないけど。でもつまらない会話なら、しない方が楽だと思う。


「有馬さんのがよっぽど話してて楽しいよ」


 思ったことをそのまま口にしただけだった。

 だけど、ふと二人を見れば、完全にフリーズしていた。


< 31 / 40 >

この作品をシェア

pagetop