有馬さんは宇宙人
「俺も苦労してるんですけどね」
「お前からそんな言葉が聞けるとはな」
楽しそうに口元を吊り上げクックと笑う南さん。こちらの会話に気付いた有馬さんが「何の話しだ」と興味津々に割り込んでくる。
ややこしくなるから有馬さんは入ってこなくて結構です。
「ところで合コンはどうだったんだよ?大学生は可愛かったか?」
からかうように言う南さんにため息をついて、有馬さんを睨んだ。有馬さんは一瞬キョドってふい、と窓の外に顔を反らした。
この人に話したな。
「まあ可愛かったですけど、特になんとも」
「……俺はお前の未来が心配だ」
南さんだけには心配されたくない。
確かに可愛かったけど、本当にそれだけだった。クラスメートより色気があって、オシャレで、大人の対応が出来て。
そして、つまらない。
話すことが嫌いな訳ではない、特別好きなわけでもないけど。でもつまらない会話なら、しない方が楽だと思う。
「有馬さんのがよっぽど話してて楽しいよ」
思ったことをそのまま口にしただけだった。
だけど、ふと二人を見れば、完全にフリーズしていた。