有馬さんは宇宙人
ただのマフィンを様々な角度から見てほお、だとかなるほど、だとか言ってる有馬さんを横目に自分の分をさっさと口にほうり込む。
うん、美味い。
「これはまた…!味も絶品ではないか!」
相変わらず一人盛り上がる有馬さん。だが悪い気はしなかった。
自分が必死になってまで相手に喜んで貰うなんて面倒なことはしないけど、自分の趣味の範囲内であるお菓子作りで喜んでくれるのならば、また持って来てあげようか。
これなら俺も苦じゃないし、ついでに喜んで貰えるならそんなに楽なことはない。
マフィンを頬張る有馬さんを見遣る。
ふと、赤いカーディガンの袖から覗く白い手首に、青紫の痣のようなものがチラついた。
「それ、どうしたの?」
興味本意で指をさしてみる。と、有馬さんは一瞬何のことだと言う表情をしたが、すぐに気付いたのか手首を晒した。
「ああ、これか?エイリアンと闘った時にな」
「へえ、痛そう」
本気で信じたわけではない。けど、有馬さんがそう言うのだから、そうなんだろう。
「痛みはあるが、人間ほどか弱くないからすぐに治るさ」
有馬さんもまるで気にしてないようなので、俺が気にするまでもない。
すぐに話題は入れ変わった。