有馬さんは宇宙人


「いや~、奇遇デスネ」


 最近どうも俺のことがお気に入りみたいで、色々と可愛がっていただいている。へらりと笑って見せれば、先輩方の額に青筋が浮かんだ。


「ほんと奇遇だな、相変わらずのおサボりか?」

「俺達が受験に追われてるってのにお前は呑気なもんだな」


 そこがムカつくぜ。と座る俺の横に吐き捨てられるガム。

 今のところは手を出されたことはないけれど、なんかそろそろ危ない予感。できれば温厚に終わらせたい。

 大人しく帰るか、と重い腰をよっこいしょ、なんて言いながら持ち上げて前を見上げた瞬間、

 ―――バキイッ

 鈍い音と共に目の前の不良がぶっ飛び、俺の視界にはキラキラと輝く銀の髪が揺れる。

 普段から動きがスローだとかマイペースだとか色々言われる俺だけど、なんかマジで視界がスローモーションだ。

 頬が歪んだ不良が面白い顔で地面にたたき付けられ、砂埃が舞った。

 そして、どこからともなく現れた俺に背を向け仁王立ちする彼女は―――


「地球防衛軍参上!」


 噂の有馬さんだった。


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