有馬さんは宇宙人
うわあ、また面倒臭いのが増えた。
地球防衛軍って。参上って。銀髪って。いきなり殴っちゃうって。
突っ込みどころは満載だけど、生憎俺も割と突っ込まれる側なのだ。突っ込むなんてがらじゃないこと、いちいちしない。
「貴様らが地球の侵略を企みやってきたエイリアンだと言うことはわかっている!」
砂埃と木の葉が舞う裏庭には有馬さんの凛とした声のみが響く。
平穏に終わらせたいのに、どこからともなく現れた有馬さんのおかげで何だか余計にややこしくなってきた。
「殺されたくなければ星に帰るがよい!」
「いや、えっと…」
俺以上に、不良の方がたじたじしてしまっている。いっそう可哀相なくらいに。
そんな中、有馬さんの堂々たる後ろ姿が、俺にはなんだかとても綺麗に映っていた。
「こ、このイカレ野郎め!」
「精神科行くことすすめるぜ!」
まあまあ妥当な罵声を浴びせ、不良達はそそくさとどこかへ行ってしまった。とりあえず、大事にならなくてよかった。
俺はほっと溜め息をついて、のどかな空を見上げる。
今日も平和だ。