甘い旋律で狂わせて
おかしな質問をしてしまったことを後悔していると、ネオは寝そべったまま呟くように言った。


「ただの名も無きピアニスト。ってところかな」


ネオはそう言って、クルッと巻かれたあたしの髪をひと束すくった。



妖艶な表情を見せながら、あたしの髪にそっと口づける。


また惑わされそうになって、あたしは胸を抑えながら別の話題を振った。




「ネ、ネオは、プロのピアニストじゃないの?」


赤くなっていく頬の火照りを冷やそうと、あたしは顔に手を当てる。


ネオは頷きながら、そんなあたしの様子を見ていた。



< 136 / 593 >

この作品をシェア

pagetop