甘い旋律で狂わせて
誘われるがままに

乱されるがままに


熱を帯び、奪われていく体



あたしはその愛撫に、必死に応えていた。




握りしめるその手が、離れないように

絡まり合うこの指が、解けないように



まるで泡のように儚く消えていきそうな何かを

必死で繋ぎとめるように




あの日なくしたすべてのものを


取り戻すかのように


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