甘い旋律で狂わせて
その大きな音にビクリとして、悠貴の顔を仰ぎ見た。


「まさか、おまえに裏切られるとは思ってもみなかったよ。かわいい顔で意見ひとつ言わないで、俺にただ従うだけの従順な女だと思ってたら、とんだ勘違いだったよ」


「悠…貴……?」



まるで別人のような低い声。

憎いものを見るかのような冷たい瞳。


見たことのない悠貴の表情に、背筋が凍った。




「誤魔化す必要はない。全部わかってんだよ」


悠貴はそう言った瞬間、あたしの腕を強く引いて床に引きずり下ろした。


その衝撃で、打ち付けられた背中にひどい痛みが襲う。



「何してた?言ってみろよ」


悠貴の顔からは、いつもの優しさが消えていた。

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