甘い旋律で狂わせて
「いつからだ?誰だ?昔の男かよ?それともあの時にたらしこんだのか?」


顔を歪める悠貴に、あたしの体はカタカタと震えた。



……恐怖を、感じた。



「ゆ…き……ごめんなさ……」


悠貴の冷たい瞳が怖くて、そう声を震わせた瞬間だった。




「何だ、これ……」



悠貴の手が止まった。


悠貴の視線が、あたしの胸元に注がれていた。



その冷たい目で見つめる先には

あたしの肌ににつけられた、無数の赤い印



あたしの胸を埋め尽くすように

まるで見せつけるようにつけられたキスマークに



あたしはこの時はじめて気付いたんだ。

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