甘い旋律で狂わせて
「だからって、婚約破棄する気はないからな。お互いの親にも会社の上司にも報告してるんだ。今さら俺の顔をつぶすようなことは許さない」


白いワイシャツに袖を通し、あたしの顔も見ずに言った。


「でも俺は今まで通り、他の女も抱くから」



……今まで通り?



ああ、そういうことか。


悠貴は、あたし以外に体だけの女の人がいたんだ……。



「何、ショック受けたような顔してんだよ。俺を悦ばせられないおまえが悪いのに。それに、結局同罪だろ?」


たしかに、そうだね……。


ネオに抱かれたあたしに、悠貴を責める資格ないじゃない。


あたしも悠貴を裏切ってるんだから……。

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