甘い旋律で狂わせて
悠貴に……?

言えるはずない。


悠貴は絶対に、あたしを許してくれないだろう。



「花音、どうしたの……?」


勝手に震える手に、遥はあたしの顔を覗き込んだ。



「悠貴が怖いの。だから、言えない……」


声が震えた。

悠貴の冷たい目を思い出して、怖くなった。



「花音、悠貴さんに何かされたの?」


「……」


「花音!」



――言えないよ。


そこまで言ったら、きっと遥は責任を感じてしまう。



遥があたしに悠貴さんを勧めたから……。
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