甘い旋律で狂わせて
「あの人の花音を見る目、なんだか変じゃない?」



「えっ……?」



呟くようにそう言った遥の言葉に、あたしは思わず目を丸くする。



曲調が変わり、だんだんと激しさを増していく音階に耳を傾けながら、遥は言葉を続けた。




「なんだかわからないけど、変な感じがするのよ。あの人、ホントに信じて大丈夫なのかな……」



「遥……?」



遥は首を少しかしげながら、それだけ言ってまた口を閉ざした。




――遥は、何を言ってるの?



遥の言葉の意味が、この時のあたしはよくわからないでいたんだ。




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