甘い旋律で狂わせて
第六楽章 耽溺
仕事が終わってから、あのバーへ行く日が数日続いた。


今までなら悠貴と会っていたはずの仕事帰り。

でも、あれから悠貴は電話ひとつしてこない。


きっと仕事が忙しいんだろう。



それはあたしにとっては好都合だったけれど

だからといって、悠貴が婚約を解消するつもりなどないことはわかってる。




どうすればいいのかわからないまま

あたしはまたこのバーへ来てしまっていた。



そしてなぜか来るたびに、ピアノを弾いているのは決まってネオだった。

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