甘い旋律で狂わせて
バン――……!



突然、大きな音が厳かな部屋に響き、思わず体をビクリと揺らした。



「花音!何言ってんだよ!」


物凄い形相で、悠貴がテーブルを叩いて立ち上がった。



その目は、あの日あたしを力づくで虐げた冷たくて恐ろしい目だった。



――怖い


だけど、ここで引き下がるわけにはいかない。



悠貴のためにも。

自分自身のためにも。

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