甘い旋律で狂わせて
あたしは苦みのあるコーヒーが苦手。

ミルクをたっぷり入れないと飲めない。


そんなビターなブラックは、なんだかネオにぴったりだと思った。



「何だか、まだまだ知らないことだらけだよね。あたしたち」


ふと呟いたら、ネオは少しだけ笑みを見せた。



「せっかく結婚目前だったのに、これで良かったの?」



意地悪な質問に思わず苦笑してしまう。



そうさせたのは、ネオなのに……。



「ごめん、花音。冗談だよ」


そう言ってあたしの頭を撫でるネオ。


あたしは首を横に振った。


< 283 / 593 >

この作品をシェア

pagetop