甘い旋律で狂わせて
***

「今日は仕事が休みなんだ」


穏やかな休日の陽が差し込むリビングで

ネオはピアノに手をかけながら静かに言った。



「そうなんだ。じゃあ、今日は一緒にいられるね」


そう言って頬笑み返しながら、流れ出した切なげなネオのメロディーに耳を傾けた。



細く長い指が白と黒の鍵盤を叩くたびに

ネオから生み出される音色がこの空間を優しく包む。



瞳を伏せながら音を感じ

そして天を仰ぎ見る。



時折見せる苦しげな横顔に

ドクンドクンと、鼓動が速くなるのを抑えられなくなる……。



この音色だけでなく

弾いているネオ自身さえも

“芸術的”だと思ってしまう。

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