甘い旋律で狂わせて
第八楽章 命日
ネオと付き合いだしてから、2か月が過ぎようとしていた。
――季節は初夏
日もだいぶ長くなった。
だけど、ネオとの微妙な距離感は変わらなかった。
近づきたいと思いながらも、あたしはまだネオを深く知らないでいる。
そのもどかしさに、なぜだかため息が零れることが多くなった。
「もう夏も本番ね。少し動いただけで汗をかくわ」
大きな洗濯かごを抱えながら、リビングに入ってきたお母さん。
その額には、じわりと汗が滲んでいる。
「手伝うよ」
あたしはそう言って、カーペットに腰を下ろして洗濯物をたたみ始めるお母さんを手伝った。