甘い旋律で狂わせて
だけど、その一瞬の眼差しに

囚われたように、彼の動きから目が離せなくなった。





あたしは、幻を見ているの……?




日本人離れした美しい顔立ちも

こちらを見たときの透明な瞳の眼差しも

洗練された身のこなしのひとつひとつも



そして、鍵盤に触れた長くて美しい指の先まで……





あたしは、知っていた。



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