甘い旋律で狂わせて
「新しい彼とは仲良くやってるの?」

「うん。まぁ……」


ネオのことを聞かれるのは、久しぶりのことだった。



「彼は忙しいからなかなか会えないけどね」

「あら、どんなお仕事してるの?」



お母さんのストレートな質問に、少し口ごもった。



「…ピアニスト。アマチュアだけど」



あたしの言葉に、お母さんは驚いたように手を一瞬止めた。



あたしがまさか、ピアニストと付き合うなんて思いもしなかったんだろう。


先生のことがあってから、音楽やピアノのことを口に出さないのは暗黙の了解だったから。

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