甘い旋律で狂わせて
「それはまた・・・びっくりね。」


目を白黒させるお母さんに、苦笑いした。



お母さんもわかってるんだ。


あたしが先生から卒業できていないまま、生きてきたこと。

本当に人を好きになれないできたあたしのこと、ちゃんとわかってるんだ。


――だからこそ、あたしは笑顔で言った。



「あたし、今度こそ忘れられそうな気がするの。今の彼を、本気で好きになったから」



はっきりと言ったあたしを見て、お母さんは安心したようだった。


「まぁ、まだ日が浅いから、お互い知らないことの方が多いけれどね」


苦笑いをするあたしに、お母さんは優しく言った。


< 332 / 593 >

この作品をシェア

pagetop