甘い旋律で狂わせて
「また先生のことを考えてる」


お母さんはそう言って、あたしの頬をつねった。



「いつまでもそうだと、今の彼にもちゃんと向きあえないわよ?」

「うん、わかってる…」



そうだよね。


ネオがいるのに、先生のことを考えてちゃダメだ。


今、あたしにはネオがいるんだから。

ネオと一緒ならきっと忘れられるんだから。



――だけど、まだ正直心の奥の方がぽっかりと空いているような感覚だ。

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