甘い旋律で狂わせて
「そんなに悩むなら、会いに行けばいいじゃない」

「……えっ?」


お母さんの唐突な言葉に、思わず目を見開いた。


「ちゃんとお別れしてないからじゃないの?今のままだとずっと未消化のままよ。自分で終わらせなきゃね」



……自分で、終わらせる?



お母さんの真剣な言葉に、ゴクリと息を飲んだ。



「先生のご実家に行って、きちんとご挨拶したら?お母さんも付いていくわよ。その方が、気持ちがちゃんと整理できるんじゃない?」


――たしかに、そうすることであたしは先生への気持ちを終わらせることができるのかもしれない。

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