甘い旋律で狂わせて
***

『花音』


あたしの名を呼ぶ、愛しい人の声


ああ、先生だ。



先生がどうしてここに……?




少し長めの茶色い髪も

切れ長の鋭い瞳も


あたしが大好きだった先生だ。



あたしは必死に手を伸ばす。



だけど……


少しも手は届かなくて


だんだんと先生の輪郭が薄れていく。

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